農業白書 2017年度版

先日、平成29年度の「農業白書(食料・農業・農村の動向)」が閣議決定。

農水省の資料を参考に公認会計士 佐藤がまとめておきます。

特徴

昨年の農業白書は、農業競争力強化プログラムと農林業センサスが特集。今年の特徴は農業経営の更なる発展に向けて、次世代を担う若手農業者の姿が特集されています。

若手農業者アンケート

49歳以下の農業者の回答で気になったところをピックアップ。

 

我が国の農業の在り方について「国内だけでなく海外に目を向けるべき」35.1%占めているのには驚き。TPP等で海外の視点が必要に。

農業の魅力

裁量の自由度の大きさ46.5%。セミナーでお話するよう工夫次第で伸びしろ大。

農業経営の課題

就農から年数別に見ると、「労働力の不足」は年数が長いほど高く、「技術の不足」と「資金調達の難しさ」は年数が長いほど低い。

 

年数が長いと規模拡大する経営者が多くなる傾向、一方で人手不足深刻。

ポイント

農業経営者は、AI、IoT、ロボットやドローンなど導入、どこまで効率化が図れるか。

IoT導入と異業種連携

販売金額が大きいほど農業生産で今後伸ばしていきたいとの回答。

販売先

出荷・販売先で今後伸ばしていきたい方向について、「消費者への直接販売」56.7%が最高となり、続いて「外食・中食業者」24.9%、「自営以外の直売所」の順。

 

セミナーでお話しますがインターネットの利用重視でファンを増やしてほしいですね。

若手新規就農者の動向

49歳以下の新規就農者数は3年連続で2万人を超過。

農業法人雇用者の満足度

給与は「不満の者」38%が「満足の者」30.4%を上回る。

 

労働時間や労力に対する給与の低さは誰もが認めるところ、所得向上への取組みが急務。セミナーでお話しているように農産物の販売収入がいかに重要かわかるでしょう。

その他、農業白書トピックス

1、産出額が2年連続増加の農業

農業総産出額は、コメの消費減退による産出額の減少等を主たる要因として2014年まで長期的に減少。直近2年間は増加が続き、2016年はコメや野菜等の需要に応じた生産の進展等から、2000年以来16年ぶりに9兆円台を回復。

更なる発展に向け海外も視野に

国内は人口と食料需要の減少が進行、世界では人口及び食料需要は増加へ。

ポイント

専ら国内需要を念頭に置く農業生産から、国内需要に加えて世界需要も視野に入れた農業生産へと意識転換を図ることが、農業の持続的発展と農村振興を実現する一つの鍵。

参考

農業総産出額2015年8.8兆円、2016年9.2兆円。農林水産物の輸出額2017年8,073億円と過去最高。

2、日欧EPA交渉妥結

EU乳製品の輸入増に対して国内の酪農家の生産拡大できるか。EU側からは、牛肉、茶、水産物等のほぼ全ての品目で関税撤廃を獲得。また、日本側48産品、EU側71産品の地理的表示GIを相互に高いレベルで保護。

ポイント

関税削減等の影響で価格低下による生産額の減少が生じるものの、国内対策により、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されるものと政府見解。

3、近代化に大きく貢献した養蚕

我が国の養蚕が生み出した生糸は、国内の生糸商人や貿易商人等に利益をもたらし、資本蓄積を通じて我が国の近代化に大きく貢献。

蚕の現状

遺伝子組換え蚕を用いた光るシルクや、蚕が生成するたんぱく質を用いた骨粗しょう症の検査薬、動物用医薬品等が生産。また、人工血管や難病治療薬等の開発も進展。

4、動き出した農泊

訪日外国人を含む観光客に対し様々なサービスを提供し、リピーターや新たな観光客を獲得していくことは、農山漁村の所得向上と活性化に貢献。

目標

地方創生や観光立国の関連施設でもある農泊については、2020年までに農泊をビジネスとして実施できる体制を持った500地域の創出が目標。

ポイント

イノシシ等のジビエ料理や我が故郷きりたんぽ鍋作り、伝統文化の継承体験などのコト消費で地域活性化へ。

まとめ

これからは2020年東京オリンピック・パラリンピックの日本産品の提供に向けた取組み、農泊もそうですが地域資源をいかして所得向上させていく取組みが大事に。

 

独り言

これまで、当ブログが追って記載してきた内容とほぼ同様でした。貿易交渉に関係なく、国内の農業強化無くして日本農業の成長は無し!

 

若手農業者アンケート結果で気がかりだった点、将来の進路で独立志向が二番手。現勤務先にとどまるが最多とは(笑)思う以上に保守的、これでは日本農業の将来が!?当事務所には、熱い思いの農業経営者からのコンサル依頼も少なくないのに、さらに力を入れないと!

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