2017/3/8(水)
民法の相続法改正に向け法務省で平成27年から審議されています。
背景には高齢化社会や家族の在り方の変化。また配偶者の生活の配慮。
話題になっていますので、法務省公表資料を基にまとめておきます。
配偶者の居住権を保護するための方策
1 短期居住権の新設
配偶者が、相続開始の時に遺産に属する建物に居住していた場合には、遺産分割が終了するまでの間、無償でその建物(居住建物)を使用することができるようにする。
2 長期居住権の新設
配偶者が、居住建物を対象として、終身又は一定期間、配偶者にその使用を認めることを内容とする法定の権利を創設し、遺産分割等における選択肢の一つとして、配偶者に長期居住権を取得させることができるようにする。
遺産分割に関する見直し
1 配偶者の相続分の見直し
現行の法定相続分←配偶者の貢献の反映が不十分との批判
(見直しの方向性についての2つの考え)
甲案 被相続人の財産が婚姻後に一定の割合以上増加した場合に、その割合に応じて配偶者の具体的相続分を増やすという考え方。
乙案 婚姻成立後、一定期間(例えば20年、30年)が経過した場合に、一定の要件(例えば当該夫婦の届出)のもとで、又は当然に、法定相続分を増やすという考え方。
2 その他の論点
可分債権の遺産分割における取扱いの見直し
遺言制度に関する見直し
1 自筆証書遺言の方式緩和
財産の特定に関する事項については、自書でなくてもよいものとする。
2 自筆証書遺言の保管制度の創設(遺言保管機関を設ける)
遺留分制度に関する見直し
遺留分権利者の権利行使によって、遺贈又は贈与の目的物について当然に共有状態が生ずることとされている現行の規律を改め、遺留分権利者の権利行使により、原則として金銭債権が発生することとする。
相続人以外の者の貢献を考慮するための方策
相続人以外の者が、被相続人の療養看護等を行った場合には、一定の要件のもとで、相続人に対して金銭請求をすることができるようにする。
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