今秋をめどに農家の生産ノウハウの指針を作るようです。
日本経済新聞(2018/7/15)より一部抜粋しておきます。
農林水産省
土作りのコツや肥料のまき方、苗の育て方など農家が持つノウハウを権利として守り、データとして流通する取引ルールを作る。
知的財産
ノウハウは農家の知的財産だが、データにして活用する農家はまだ少ない。
環境整備
IT(情報技術)や人工知能(AI)を使う農業の生産性向上に向け、データ化したノウハウの流通環境を整える。
農家の知恵
収量や品質を高めるための土作りや肥料のまき方などは、他にない独自の手法なら知的財産としての価値を持つ。盗まれた場合には、不正競争防止法の違反対象になる可能性すらある。
【出所】日本経済新聞
農家の権利
農水省はITを使う効率の高い農業の普及や技術伝承には、農家の権利をきちんと守りながらデータを取引できる環境が必要と考えている。
農水省調査
個人農家のうち82%が農産物の生産技術やノウハウについて特別な管理をしていなかった。
スマート農業
担い手の減少と高齢化は進んでいる。これからの農業を維持するには、ビッグデータやIT、AIを活用した「スマート農業」による生産性の向上が欠かせない。培ったノウハウはデータにしなければ、ITやAIで活用できない。
富士経済の調査
25年の国内のスマート農業関連市場は123億円と、17年に比べて2.7倍に増える見通し。
政府目標
25年までに担い手のほぼ全てがデータを活用して農業に取り組むことを目標に掲げている。
まとめ
いちご等の品種(育成者権)が海外流出で問題になっていましたが、農家の生産ノウハウも知的財産としてデータ活用が進みそうですね。
当事務所がセミナーで農業の特許権(かぼちゃの空中栽培法や四角いメロンなど)を講義に盛り込んだことを思い出しました。
上記からわかるように農家としては生産ノウハウを特別管理していないものの次世代への伝承は進めてほしいものです。
独り言
上記図でも生産ノウハウの土作りが最多。我が家では酪農もしていたので、堆肥を利用した土作りをよくやっていました。ついに熟練農家の知恵と勘はデータ管理の時代、寂しい限り(笑)
参考 日本農業を取り巻く環境
①農業産出額の減少(ピーク時は11.72兆円、昨年末公表直近9.20兆円)。
②従事者の高齢化(平均年齢67歳)及び就農人口減少(直近181.6万人)。
③耕作放棄地の増加(富山県の面積に匹敵)。
農業骨太試算で農業人口2050年には100万人程度、現在の半減で3割が85歳以上。
参考2 特許権
技術開発によって生まれたアイデアや発明を、財産として守ってくれる。
①発明者が発明を独占利用し、市場シェアも独占。
②特許のライセンスを与える相手を選ぶことで市場シェアをコントロールしながらライセンス料を得る(農水省HP参照)。
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