2018/3/19(月)
先日、「八丁味噌」老舗2社が農水省へ行政不服審査請求を行い話題に。
老舗カクキューHPを参考に公認会計士 佐藤がまとめておきます。
地理的表示GIの経緯
老舗「カクキュー」と「まるや」は2015年6月に農水省に申請。約2年の補正等を行ったようです。農水省から登録を目指すのであれば、生産地を愛知県に。また今のままでは登録困難と言われ、拒絶の可能性が濃厚となり、やむなく2017年6月に取り下げたとのことです。その後に愛知県味噌溜醤油工業協同組合が「八丁味噌」として2017年12月15日に登録により老舗2社が不服申し立てへ。
影響
日本が認めた農産品ブランド地理的表示GIとしての「八丁味噌」が老舗2社は利用できなくなる。
なぜ問題に?
老舗2社は江戸時代から伝統製法を守りGI登録されている「八丁味噌」とあまりに異なる品質と製法。
GI登録された八丁味噌 | 老舗2社の八丁味噌 | |
生産地 | 愛知県 | 愛知県岡崎市八帖町 |
味噌玉 | 直径20㎜以上など | 握り拳ほどの大きさ |
熟成期間 | 一夏以上熟成 | 天然醸造で2年以上 |
仕込み桶 | タンク | 木桶のみ |
重し | 形状は問わない | 天然石を円錐状に約3トン積上 |
まとめ
江戸時代初期から木桶の確保や石積技術の伝承など老舗2社が岡崎の地で「八丁味噌」の歴史と文化を守り続けてきたにもかかわらず登録から外れたのは非常に残念。
農水大臣の1月30日会見では老舗2社が追加申請で登録されれば地理的表示GI使用できるというものの。
独り言
地理的表示は、制度スタートから当ブログで記載。当事務所は知的財産のセミナーも行いました。何を言いたいのかというと、TPP等(TPP11含む及び日欧EPA)関税撤廃で味噌は海外における日本食レストラン人気で輸出額増加が期待できるからです。
地理的表示GIは簡単に登録できるわけではなく、学識経験者からの意見聴取など経ています。老舗2社が不服申し立てで問題になるのは目に見えていたはずでは。さて今後、農水省はどう動くか注目。
参考 地理的表示保護制度GI
地域で育まれた伝統と特性をもつ農林水産物のうち、その特性がその土地ならではの気候風土や文化などと結び付いている場合に、その結び付きを特定できるような名称(地理的表示)を知的財産として登録し保護する制度。
日本では、酒類は1994年に農林水産物等は2015年に地理的表示スタート。海外では既に100か国以上で同様の制度が導入。
日本側:神戸ビーフ、夕張メロン、西尾の抹茶など。
EU側:ゴルゴンゾーラ、アチェート・バルサミコ・ディ・モデナなど。
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