2017/6/14(水)
ブログタイトルが話題になっていますね。
公認会計士 佐藤の視点で決算短信などを参考にまとめておきます。
不適切会計375億円
富士フイルムホールディングスは、富士ゼロックスの海外販売子会社に関する不適切な会計処理で、375億円の損失と第三者委員会の調査結果を公表。
背景
機器販売と保守サービス等を一体化させた契約。機器導入時にキャピタルリースとして機器相当の売り上げを初年度に一括計上し、その後月間のターゲットボリュームに応じて定めたコピー単価に実際のコピー枚数を乗じたコピー料金で回収する方法。
条件を満たさない場合にもこの会計処理をしていたとのこと。そのため売上過大計上により債権が回収できない取引が多数発生。この会計処理が常態化(2010年度から)に驚き。またニュージーランドだけでなくオーストラリアでも類似の事象があったと。他の地域での不適切な会計処理は確認されていないとの報告ですが疑問。
2016年度業績への影響
役員報酬・賞与カットあるも富士ゼロックス海外販売子会社の会計処理問題に関わる金額影響は軽微とのこと。
富士フイルムホールディングス今後の対応
子会社にかかる内部統制の見直し・再構築により業務プロセスの透明化を図りグループガバナンスを強化するとのこと。
なぜ不適切会計がなくならないのか?
今回はルールを無視した売上至上主義だけでなく海外子会社の管理体制の不備。トップに適切な実態情報が報告されなかった。
上記事例だけでなく、企業は成長を求めてM&A(合併・買収)が進んでいる一方、ガバナンスの欠如が問題に。
①取引範囲の拡大
②ビジネスモデルの複雑化
③内部統制の評価が形式的
企業が存続している限り不適切な会計処理は皆無にならず。監査のチェック体制強化にも限界が。AI(人工知能)導入が話題になってはいますが。
当ブログに以前記載済ですが、海外子会社の親会社のコントロールがなされているのか(内部統制)。おそらく問題になっているのは一例でこれからもグループ経営されている企業の不適切な会計処理は決算期に話題になるのでは。
ここからは不適切会計を離れ、富士フイルムホールディングスの経営状況を。
売上高2兆3,222億円
前年2兆4,604億円(修正後)と比較して1,382億円減少。為替の円高による影響など。
事業別セグメント
富士フイルムホールディングスの強さがセグメントでわかります。コア事業の写真フィルムの需要が減少した2000年以降、事業構造の転換を積極的に進めて、安定的な利益及びキャッシュを創出できる経営基盤を構築したのが大きいですね。
カラーフィルム、写真プリント用カラーペーパー・サービス・機器など今期売上全体の14.7%なのに対し医薬品、ライフサイエンス製品などは38.7%。複合機、プリンターなどは46.6%となっています。
特にヘルスケア分野では、再生医療、創薬の領域を中心に積極的にM&Aを進めています。攻めの経営、iPS細胞やアルツハイマー型認知症治療薬など市場成長が見込めるところに経営資源投入、事業成長を経営方針に。
まとめ
当ブログ読者は農業経営者の皆さんが多いかと思うのでこれを農業に置き換えて考えてほしいということです。当事務所のお客様もそうですが、自分の実家の農業経営も環境変化に対応して成長。皆さんのところも農業経営は変化しているはず。栽培品種や販路先など変化していませんか。また今の農業経営で事業継続できますか?
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独り言
監査もチェックだけが仕事になっているのが残念。もちろん社会の期待に応えて会計問題をなくすのが一番、大企業だから安全という保障は何処にもなし。不適切会計チェックだけで公認会計士の魅力が失せなければいいと。活躍の場はたくさんあります(笑)
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