2017/5/16(火)
2017年3月期の決算がほぼ出揃う時期に。最近は監査法人に対する不正会計問題が飛び火してます。当ブログに記載した東芝もそうですが、富士フイルムホールディングスも会計処理が問題に。かねてから話題のJA監査も19年にスタート。
公認会計士 佐藤がまとめておきます。
背景
海外子会社を通した不透明な会計処理(内部統制含む)。
財務諸表監査の意義
適正な財務諸表を作成する責任は経営者(会社側)にあるも、財務諸表監査に対する社会の期待に監査法人はどこまで応えているのか。
舞台は海外子会社
東芝はアメリカ原子力発電子会社ウエスチングハウス、富士フイルムホールディングスは連結子会社富士ゼロックスのニュージーランド販売子会社。
富士ゼロックス子会社の会計処理が過去数年間にわたる「当期純利益」に与える影響金額は、累計で約220億円の損失と公表。だが第三者委員会設置の調査で変動する可能性があるとのこと。
AERA 2017/4/17
週刊誌AERAにかつて東芝担当元監査法人の公認会計士による談話が。同業者としてはショッキングな内容、一部抜粋しておきます。
「東芝の経理はプライドが高く、優秀な人が多い。会計士なんて圧倒的に見下している。特に若手会計士などは、試験に受かっただけで、事業のことはわからない。東芝のような複雑なビジネスをしている会社に資料を求めても、相手にされない」
「四半期決算が義務づけられ、会計基準も監査も厳しくなる一方で、業務量も増えている。企業の国際展開も進み、不正を見抜くのは難しい」
若手会計士をフォローするのが監査チームのはず。自分の監査法人勤務時代は、企業に対して上司の毅然とした対応が忘れられず。今は監査量の増大も質の低下が懸念。
監査の今後のポイント
①企業側はどこまで監査法人に情報開示しているのか。
②企業側は内部統制を形式的でなく実質に踏み込んで評価しているのか。
③監査側は企業環境の変化に対応した管理体制がなされているのか。
JA監査
農協改革で当ブログにも記載しましたが、JA監査が2019年度にスタート。農林水産省も予算で有限責任あずさ監査法人に監査費用に関する調査依頼の結果が先月公表。
JAの監査費用は以前から重きがありましたが、上記にあるように内部統制の整備と運用がどの程度有効に機能するかで監査費用及び監査時間に影響。
以前ブログ記載済。土佐あき農協(高知県)が組合員の農家に収穫したナスを農協を通して出荷するよう不当な圧力をかけたとして問題に。農協利用の有無が会計にも影響。
まとめ
企業の内部統制の評価が機能しているのか疑問。海外展開している企業はどの程度ビジネスリスクを把握しているのだろうか。もちろん海外子会社の重要性もありますが。
上場企業は、海外投資家から日本の株式市場の信用低下を招かなければいいのですが。
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独り言
海外子会社は以前から問題に。どこまでコントロールしているのか。企業の人材不足が問題ですが監査法人もしかり。監査ほどAI導入で不正会計の撲滅を。
JA監査も今夏までに新しい監査法人を立ち上げるようですが、以前よりJA担当の公認会計士?よくあるパターンの表紙変われど中身は変わらずとならんことを。
農業所得減少で農家引継ぎが問題であるように、公認会計士は不正見抜くチェックで受験者数減少とリンクしなければいいのですが。
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