農業 WG提言とTPP行方

2016/11/14(月)

 

先週末は米大統領選トランプ勝利でTPP不透明さが増している中、国内ではTPP承認案と関連法案が参院で審議入り。先週ブログにも記載しましたがバッドタイミング。また規制改革推進会議、農業ワーキング・グループ(WG)から改革についての提言を公表。

TPP承認の行方

トランプ氏は選挙期間中はTPP離脱と明言。オバマ政権残り期間での議会承認も難しいと報道。今月19日にペルーで開催されるAPECでTPP参加国との首脳会合で米国抜きでの協定見直しや中国やロシアなど他の参加での新しい経済連携協定へと動くのか?国内は参院でTPP国会スタート。米国なきTPPを日本が先導していく道筋の説明が重要に。

農業ワーキング・グループ(WG)提言

こちらもブログに記載済、TPP不透明感が深まる中、何も農業改革を急がなくともと思われるかもしれませんが、下記参考にあるよう国内農業強化はTPPとは関係なく必須。農協が目指すべき方向性の提言を記載しておきます。

(1)生産資材

(2)農産物販売

(3)全農等の在り方

(4)地域農協の信用事業の負担軽減等

(5)農業者の自由な経営展開の確保等

 

牛乳・乳製品の生産・流通等の改革

(1)生産者が自ら自由に出荷先等を選べる制度への改革

(2)指定生乳生産者団体のみを受け皿とする加工原料乳生産者補給金制度の改革

(3)販売を行う農協等と乳業メーカーとの乳価交渉の改革

(4)酪農関連産業の構造改革

(5)国家貿易の運営方式の改革

(6)酪農家の働き方改革

(7)販売者、消費者の応援

 

全農の購買事業の見直しで生産資材メーカー側の立って手数料収入拡大を目指しているとの批判。共同購入の窓口に徹する組織に転換1年以内に。農産物販売で全農は農業者のため自らリスクを取って農産物販売に真剣に取り組むことを明確にするため1年以内に委託販売を廃止し全量を買取販売に転換すべきと。政府の本気度が伝わるような。

 

期限付きでまとめている点に厳しさが。以前から農協自身の自己改革に政府は期待を寄せていたものの、思った以上に進まず?さらに改革進展が見られないと農業者のために新組織(第二全農等)設立まで提言。

 

生産資材価格引き下げで9月下旬に小泉進次郎農林部会長と全農幹部との会話で、農協幹部「農協職員の給料のため、手数料の引き下げには反対」。小泉氏「農協職員を食わせるために農家が働いているわけではない」。

 

また小泉氏が奥野JA全中の文藝春秋の対談冒頭で「巨大組織に圧倒されています」。とこの一言に尽きます。組織のための農協?農家の皆さんのための農協は?今回の提言で農家の生産コスト低減と農産物販売収入の増加がどこまで現実に実現できるか!

 

一筋縄ではいかないような改革ですが、絵に描いた餅で終わらぬよう願うばかりです。

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参考1 農業をとりまく環境

①農業産出額の減少(ピーク時は11.72兆円、直近8.36兆円)。

②従事者の高齢化(平均年齢67歳)及び就農人口減少(直近192.2万人)。

③耕作放棄地の増加(富山県の面積に匹敵)。

 

農業骨太試算で農業人口2050年には100万人程度。現在の半減に。3割が85歳以上。

参考2 農水省の資料を基に作成

農業成長に農協改革は必須。以前ブログまとめてあります(編集・再掲載)ご参考に。

 

農協数  (昭和35年) 12,050⇒(平成27年) 679

競争力強化でさらに統廃合は進むでしょう。

今回の提言で地域農協の信用事業を農林中金等への譲渡を3年後をめどに半減と明記。

 

組合員数(平成25年) 

正組合員(農業者) 456万人、准組合員(地域住民) 558万人

農業者ではない利用者増。

 

農協のシェア

米の販売   (昭和60年) 66%⇒(平成25年) 51%

飼料の購入  (昭和60年) 51%⇒(平成25年) 28%

今は農協に頼らずインターネットで販売できる時代。

 

収支構造 JAの平均値(平成25年)

信用  +3.7億円

共済  +2.0億円

経済等▲2.1億円

合計  +3.7億円

本業の農産物販売等ではなく、金融事業等で稼いでいるのが現状。

 

預貯金残高(平成26年度) 以下ディスクロージャー誌等より

農協(全農協計)    93兆円

ゆうちょ銀行      177兆円

三菱東京UFJ銀行   135兆円

三井住友銀行     105兆円

みずほ銀行       108兆円

 

生命 保有契約高(平成26年度)

JA共済          138兆円

日本生命         168兆円

第一生命         130兆円

住友生命         102兆円

明治安田生命       88兆円

 

損害 正味収入保険料(平成26年度)

JA共済          2兆990億円

損保ジャパン      2兆1,813億円

東京海上日動      2兆368億円

三井住友         1兆4,458億円

あいおいニッセイ同和 1兆1,608億円

 

農業者の期待(アンケート平成25年)

販売力の強化を求める声    79%

資材価格の引下げを求める声 80%

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