2017/7/31(月)
先週、米国産冷凍牛肉の輸入量増加と騒然、ついに明日セーフガード発動。
公認会計士 佐藤がわかりやすくまとめておきます。
【出所】読売新聞
なぜ?
4~6月の冷凍牛肉の輸入量が急増したため(発動基準を上回り)。
急増の背景
オーストラリア産牛肉が干ばつの影響により値上がり。
期間は?
2017年8月1日から2018年3月31日まで。
関税率は?
現行38.5%から発動後50%に引き上げ。
何のために引き上げ?
国内の畜産農家を保護するため。
問題はないの?
トランプ政権にとって日本に牛肉の輸入拡大にブレーキ。反発が予想。
消費者への影響
特に夏はスタミナ源として牛肉の需要があるも今後値上がりの可能性。
外食産業への影響
牛丼店・焼き肉店・コンビニ弁当等も影響。
参考 吉野家ホールディングス
米国産冷凍牛肉の輸入量9割の吉野家ホールディングスも影響するでしょう。
有価証券報告書の事業等のリスクを一部抜粋しておきます。
新たな原料産地の開拓や分散調達等へのリスクヘッジに継続的に努めてまいりますが(中略)、必要量の原材料確保が困難な状況が生じたり、市場価格や為替相場の変動により仕入価格が高騰し、売上原価が上昇することにより業績に影響をおよぼす可能性があります(赤色は佐藤)。
参考2 関税計算
事例:米国産冷凍牛肉を1億円輸入する場合
現行 関税率38.5%
38,500,000円の関税で、合計138,500,000円のキャッシュ・アウト・フロー
発動後 関税率50%
50,000,000円の関税で、合計150,000,000円のキャッシュ・アウト・フロー
関税撤廃の場合(念のため撤廃はありません)
100,000,000円のキャッシュ・アウト・フロー
まとめ
通商交渉(TPPや日欧EPA等)では、関税の引き下げが論点でしたが、今回はセーフガードによる引き上げでした。上記計算にあるように関税の負担が今回は外食産業等のコストに影響するかわかるでしょう。今後調達先の変更等の企業努力できるか。
農業の視点
国内の牛肉はブランド牛として輸出が増えてきています。一方で牛の飼料費などコスト高、高齢化と課題も多く離農も増えているのも事実。輸入牛肉ばかり注目されていますが次世代の経営者育成を真剣に考えてほしいもの、根本から解決策を。
関連記事
2017/7/27 米国産牛肉の輸入大幅増
独り言
TPPでテレビ出演時、関税の引き下げにより消費者への恩恵が注目されていました。今回は引き上げでどうなるのか!?
お知らせ
『JAPAN CLASS』 Vol.12 好評発売中!
必見!「公認会計士・税理士 佐藤宏章」インタビュー記事掲載!
稲作経営・税務・最新トピック満載!
農業プロフェッショナル・サービスNo.1
テレビ出演・外部講師・執筆等実績←こちら