2016/12/1(木)
昨年のTPP大筋合意から先日の農業競争力強化プログラムも決定し一連の改革も終了。
当事務所のお客様には農協を利用している農家も少なくありません。今回の改革は非常に残念との声が多いように感じました。いつの間にか、政府VS農協となり農家の所得向上のための改革は何処に。農家が生産資材価格を1円でも安く仕入れ農産物を1円でも高く買ってもらうのが基本。
特に小泉進次郎農林部会長の声に期待する農家の声は多かったはず。農業現場の声を聞いてきた小泉氏はどのように判断?
小泉氏は農林中央金庫について農業融資に回っているのは0.1%。だとしたら農林中金はいらないと述べ融資姿勢を批判したり、生産資材などが地域農協で価格差がある事例や国内農家が使う肥料7割・農薬6割・農機5割を取扱うJAグループ特に全農の組織構造の問題を挙げ生産コスト削減の責任を負う全農改革が本丸とも。また全農についてリスクを取らないで手数料で稼ぐビジネスモデルからの脱却と述べていました。
11月11日の規制改革推進会議の農業ワーキング・グループの提言から小泉氏の周辺も事態は急変。
農協改革に関する反対された意見をまとめると、
①従来の生産資材購買事業に係る体制を1年以内に新しい組織に転換。
②1年以内に委託販売を廃止し、全量を買取販売に転換。
③地域農協の信用事業の農林中金等への譲渡。
1年以内の期限付きや改革が進まない場合は第二全農の設立などの内容。
JA全中は緊急集会を開き規制改革推進会議の農業ワーキング・グループ提言に反対する決議。また選挙での農協票の影響、自民党農林族の反発。結果今回の改革で期限設定は見送られ農協自身の自主性に委ねた形に。農家さんの立場としたら期限を設けて欲しかった声も。今まで改革できなかったものが急にできるのかという意見もあるのが事実。
日本農業を真剣に成長させようという強い信念は、どの程度存在するのか?
今回の改革でも農業をとりまく環境の厳しさは不変。
①農業産出額の減少(ピーク時は11.72兆円、直近8.36兆円)。
②従事者の高齢化(平均年齢67歳)及び就農人口減少(直近192.2万人)。
③耕作放棄地の増加(富山県の面積に匹敵)。
農業骨太試算で農業人口2050年には100万人程度。現在の半減に。3割が85歳以上。
当事務所のお客様も世代交代。親の世代で辞めるとの相談も。
今回の改革で農協の自主性に委ね、与党および政府は、その進捗状況について定期的なフォローアップを行うとありますが、全国農家の皆さんはどこまで期待しているのでしょうか?真の改革と納得できるよう早急に進めてと願うばかりです。
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